【重要】「自分を大切にする」ってどういうこと?-実は3種類あるんです!その②


こんにちは。
「自分感」をはぐくむカウンセラー、古村(こむら)たまき です。

前回から、「自分を大切にする」をテーマに取り上げ、ぜひ知っておいていただきたい内容をお伝えしています。
特に、おひとりで悩みを抱えて辛くなってしまうことの多い方が人生を好転させたいと思うなら、これは避けては通れないテーマです。
もちろんそれ以外の方でも、もっと自分らしく幸せに生きるために大事な、自分とのつながりの強め方が分かるようになりますよ。

(前回をまだお読みになっていない場合は、こちらからどうぞ。※新しいタブで開きます)



3種類の「自分を大切にする」とは?


さて、前回は「自分を大切にする」の基本を確認しましたね。
そして、「自分を大切にする」には実は3種類あるんですよ、ともお伝えしていました。

では、ここからは早速、その3種類――3つの意味・方向性――について見ていきましょう。

①「癒す」-過去の自分を大切にする


私たちは毎日、いろいろな場面でさまざまな感情を感じながら過ごしています。
でもその「感情」って、それを感じているそのときに生まれているのではないって知っていましたか?

「いやいや、感情は出来事に対してそのときに生まれるものでしょ」

確かに、感覚的にはそんな感じがしますよね。
ですが、感情の正体って、実は「記憶」なんです。

言い方を変えると、「心のアレルギー」のようなものです。
アレルギーと言ってしまうと何だかイメージがよくないですが、これは何もネガティブなものばかりではありません。
要は、「過去に経験したのと同じような出来事や状況に心が反応して、当時それに対して感じた感情を思い出している」ということ。

たとえば、これまでに経験のない初めてのことに出くわしたとき、頭が真っ白になって、どういう状況なのかを理解するにつれて段々と感情が湧いてくる、などというのはこれが理由です。

そして、過去の記憶に紐づいた感情――特に、不安や悲しみ・怒りなどのネガティブな感情――が出てきてくれたときこそ、「”癒す”-過去の自分を大切にする」チャンスなんです。
つまり、ネガティブな感情を感じた過去の自分に、前回挙げたような対応をしてあげるということですね。

また、お聞きになったことがあるかもしれませんが、「ブロック解除」「ブレーキを外す」などというのも「”癒す”-過去の自分を大切にする」ことに含まれます。

ただし、これには気づかないうちにハマりやすい落とし穴があるんです。
ポイントは、「なぜブロックを解除するのか」。

ブロックは自分の邪魔をするイヤなものだから?
ブロックがあると不快な気持ちになるから?
ブロックを持っている自分はダメだから?

残念ながら、これではなかなかうまくはいきません。

ブロックというのは、過去の経験を通して、生きるために必要だったから身に着けたもの。
それに対してこういった態度で向き合うことは、自分を大切にするどころか、むしろ自己否定以外の何物でもないからです。

ブロックやブレーキとは、先ほどの例で言うなら「強すぎるアレルギー」のようなものです。
ですから、やはりここでも、ブロックに対してまずはこういった接し方をしてあげることが大事なんですね。

②「伸ばす」-未来の自分を大切にする


過去の自分を大切にするうちに、これまで気づかずに抑えこんでいた自分の願い、「これをしてみたい!」という思いが出てくることがあります。

これは、自分自身との信頼関係が育ってきた証拠。
「正直な願いを伝えていいんだ、どんなことも否定しないで受け止めてもらえるんだ」と、自分が自分に対して思えるようになってきたということです。

そして、やりたいと思ったことをやってみる=自分にそれをやらせてあげる、自分の願いを叶えてあげる、というのは、「”伸ばす”-未来の自分を大切にする」方法と言えます。
(※「伸ばす」という言葉は、自分の思いや願い、力や可能性などを育てていくイメージです)
これには、やりたいことをやるだけではなく、やりたくないことはやめてみる、ということも含まれます。つまり、「”やりたくない”を叶えてあげる」ということですね。

ここでひとつ覚えておいていただきたいのですが、これは、「心の声の言いなりになる」ということではありません。
「自分を大切にする」といった場合、大事なポイントは「心の声を否定せずにそのまま受け取ること」です。
受け取ったうえで、それを採用するかしないかの判断や、どれを採用するかの選択は、あなたがしていいんです。

そしてもうひとつ、とても大事なことがあります。
それは、「癒す」と「伸ばす」のバランスを取ること。
「癒す」である程度ラクな気持ちで過ごせるようになったら、それと並行して「伸ばす」も取り入れるのがおすすめなんです。

一般的に、カウンセリングやセラピーでは、過去について扱うことがよくあります。
つまり、「”癒す”-過去の自分を大切にする」ですね。

もちろん、過去に痛みをお持ちの方にとって、これはとても大事で有効なことです。
ただ、ここまでお読みくださったあなたはもうお分かりかもしれませんが、これだけではちょっとバランスが偏ってしまうんです。

私たちにとって、過去と未来はどちらも大切なもの。
癒すことに溺れてしまっていたかつての私自身のように、自分の心の傷や痛みに気を取られすぎて、過去を癒しさえすれば全てうまくいくんだと思い込んでいるとしたら、もしかすると期待外れの結果になってしまうかもしれません。

イメージで言うと、「癒す」は過去の痛みを減らすこと、「伸ばす」は未来の喜びを増やすこと、という感じでしょうか。
「癒す」と「伸ばす」は、どちらも自分を大切にすることではありますが、意識を向ける方向が異なっているんです。

「辛かったあの頃から見れば、今はずいぶんラクになった。でも、何かもっと先があるような気がする…」
「今の穏やかな毎日に感謝しないといけないよね…でも、これって本当に私が望んでいる人生なのかな?」

もし、あなたがそんなふうに感じることがあったら、「過去を癒す」と「未来を伸ばす」のバランスが取れているかを意識してみることで、穏やかな停滞から抜け出すきっかけをつかめるかもしれません。

③「つなぐ」-今の自分を大切にする


過去を癒し、未来を伸ばすために大事なのが、過去と未来を「”つなぐ”-今の自分を大切にする」ことです。
過去からの記憶も、未来への願いも、それを受け取るのは「今の自分」ですよね。
ですから、受け取り態勢を整えておくこと=感度を上げておくことが大事なんです。

では、そのためにはどうすればいいのでしょう?

今の自分を大切にしようと思ったら、体の感覚に意識を向けてみるのがおすすめです。
頭と心、つまり、思考と感情は、過去や未来にも行くことができますが、体は”今ここ”にしか存在できないからです。

忙しい日々を過ごしている私たちは、”今ここ”の感覚を、ついおろそかにしてしまうところがありますね。
だからこそ、自分の体の感覚に意識を向けてみることで、感度がグッと上がってきます。


たとえば、自分の体にこんなふうに聞いてみるのもひとつのやり方です。


✅ 朝起きたとき-スッキリ感は体のどのあたりで感じる?痛みやだるさはある?

✅ 食事のとき-どんな味や香り、歯触りや舌触りを感じる?熱い?冷たい?

✅ お風呂のとき-体のどこが心地いい?肌にはどんな感触がある?どんな音や香りがする?

✅ 夜寝るとき-リラックス感や脱力感は体のどのあたりで感じる?パジャマや寝具はどんな肌触り?


…こうして例を挙げてみると、体の感覚に意識を向けるチャンスは、日々の暮らしの中に他にもたくさんあるということに気づかれたのではないでしょうか?
また、呼吸の瞑想や、マインドフルネスなども”今ここ”の感覚を大切にする方法です。

もちろん、ここで挙げたこと全部を一日中続ける必要なんてありませんし、そもそも現実的に無理ですよね。
一日に一回でも、数分でも、思い出したときでいいんです。
一日の中で自分のやりやすいタイミングを決めて、習慣にすることができればなおいいですね。

ただし、周囲の状況や安全に気を配らなければならないようなときは、これをするのには向きませんのでお気をつけください。



 


何かをしているとき、私たちは体を使っています。
体を使うとき、そこには感覚が生まれます。
何もしていないときでも、私たちの体は活動しています。
体が活動していれば、そこにも感覚が生まれます。

毎日毎瞬、「ないときがない」からこそ当たり前になってしまって、特に意識することもない――
そんな体の感覚に意識を向けてみると、自分の体が驚くほど細やかにたくさんのことを感じていて、いつでも自分が生きるために働いてくれていることに気づけるようになるはずです。
自分の体に、自分が生きていることに、感謝が湧いてくるかもしれません。

「今の自分を大切にする」ことがわかってくると、過去と未来の意味や価値も変わってきます。
思い出すのも辛かった過去が、大切な今の自分を作ってくれた、かけがえのない過去になります。
希望なんて描けなかった未来を、大切な今の自分にふさわしい、価値ある未来にしようと思えます。

過去を大切にすることは安心感を、未来を大切にすることは充実感をもたらしてくれます。
そして、過去と未来をつなぐ今を大切にすることで、あなたがあなた自身ともっとしっかりつながれるようになるんです。
過去と未来は今でつながっているからこそ、人生をよりよくしたいなら、「今」がとっても効果的な作用点なんだとお分かりいただけたでしょうか?




 

終わりに


前回から、自分の心の中に湧いてきたどんな思いも、無視も否定もせずにそのまま受け取ってあげることが、自分を大切にすることになるとお伝えしてきました。

ただ、初めのうちは、これを難しいと感じる人がとても多いものです。
私たちは子供のころから、「こういうことは○、こういうことは✕」というふうに、評価すること・されることにあまりにも慣れているからです。

そのため、ついつい「こんなこと思っちゃダメ、こんなふうに思う自分はダメ」と、自分の気持ちや考えだけでなく、それを抱いた自分自身まで否定してしまうんですね。
これは長年の習慣になっていますから、反射的に「ダメ」と思ってしまうのも無理はありません。
むしろその反応は、あなたがこれまで懸命に生きてきたからこそ起こっているものです。

ですからまずは、自分に対してついダメ出しをしてしまう自分に「気づく」ことから始めてみませんか?
カウンセリングの中でも折に触れてお伝えしていますが、気づくというのは変化の第一歩です。
それに気づかない限り、それを変えることはできないからです。
でも、日々無意識に繰り返していたそれを意識することができれば、あなたは、自分が望む方へ変わっていくきっかけを手に入れたことになります。

ぜひ、前回と今回の内容をご参考に、「気づく」ことから「自分を大切にする」生き方を始めてみていただけたら…と願っています。



 


自分感カウンセリングでは、あなたの過去・今・未来に寄り添いながら、あなたがあなた自身とつながるためのサポートをさせていただきます。

「もっと自分を大切にしてあげたい」
「自分だけではちゃんとできているか心配」
と感じたら、どうぞお気軽にご相談くださいね。

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