不安を成長につなげることができる人、できない人-その違いとは?


「この人、なんだか機嫌が悪いみたい…もしかして私のせい?」
「やってみたいけど、失敗したら恥ずかしいし、やっぱりやめておこうかな…」

こんなふうに不安になったこと、あなたにもありませんか?
そして、そんな自分を弱い人間だと責めたり落ち込んだりしたことはないでしょうか。


こんにちは。
【自分感】をはぐくむカウンセラー、古村(こむら)たまき です。

毎日の中で、不安をまったく感じない人なんていません。

では、自分と同じように不安を感じているはずなのに、あの人はなぜ、あんなに生き生きと幸せそうなのでしょう?

今回は、そのヒミツをお話ししちゃいます。



そもそも不安に対する「捉え方」が違う


不安を感じるというのは、人に(動物に)備わっているとても大切な機能です。

たとえば、暗い夜道を歩いているとき。
「怖いな…」と不安に思うからこそ、周囲に気をつけて注意深く行動することができますよね。
あるいは、少し遠回りでも、街灯が多い道や人通りの多い道を選ぶかもしれません。

そう、不安はもともと、私たちを危険から遠ざけ、守ってくれるためにある感情なんです。
最も大切な「生命を守る、生き延びる」という欲求を満たすためです。

ただ、現代社会に生きる私たちは、実際には命の危険のない場面でも、強い不安を感じることがあります。
たとえば、人間関係の心配ごとや、新しいことに挑戦するときなど。

そんなとき、不安を行動とその先の成長につなげられる人と、そうでない人とでは、一体何が違うのでしょう?



答えはずばり、「不安の捉え方」。



不安を成長に変えられる人は、不安が「大切なサイン」であると捉えている人です。
逆に、不安を成長に変えられない人は、不安を「あってはダメなもの」とネガティブに捉えています。

そして、この捉え方の違いが、その先に大きく影響していくんです。

捉え方の違いが、結果の違いにつながるわけ


では、「捉え方」という意識の違いが、なぜ結果の違いにつながるのか、その理由を見ていきましょう。

先ほどもさらっと触れたように、不安という感情は、「自分にとって大切なことがおろそかになっている」「自分の望みを満たすことができていない」などということを教えてくれる重要なサイン。

不安を成長につなげられる人は、「この不安の背後には、自分にとって大切なことが隠れている」という捉え方ができるので、不安を感じたときに、それを嫌って無視したり抑えつけたりはしません。

不安を大切な感情だと捉えていると、自分の中に生まれた不安に目を向け、不安を感じている自分と対話することができます。

そして、自分との対話を通じて、自分自身――自分の本心や本音――としっかりつながり、大切なことを大切にするために行動するからこそ、幸せに成長していくことができるんです。

つまり、ネガティブ感情と穏やかに向き合い、軽やかに進んでいくことができるのは、「どんなネガティブな感情も、全て自分のためにある大切なもの」と思えているからなんですね。


一方、不安を成長につなげることができない人は、不安を感じているときの不快さを嫌って、それを無視したり抑えつけたりしようとします。

不安を「あってはダメなもの、ジャマなもの、自分の弱さの証拠」などと捉えているためです。

繰り返しお伝えしているように、不安という感情には、「自分にとって大切なメッセージを届ける」という役目がありますから、嫌がって受け取らずにいると、どんどん声を大きくして「ちゃんと受け取って!」と訴えてきます。
不安が大きく膨らんでいくということですね。

そして、不安で行動できなくなって、目の前のことから逃げたり後回しにしたりしているうちに、どんどんツケが溜まり、自分の手には負えなくなってしまったり…。

また、不安に負けまい、不安を感じている自分を見せまいと、がむしゃらに行動する人も中にはいます。

ですが、そういったやり方を続けることができるのは、全体のたった20%程度と言われています。
ほとんどの人は途中で力尽きて、行動が続かなくなってしまいますし、20%の人も、がむしゃらに頑張った結果、いわゆる「燃え尽き」状態に陥ってしまうんです。

これは、不安を「ダメなもの、悪いもの」と捉えているから。

そして、こういった捉え方をしている場合、不安を感じている自分は「ダメな自分」です。
そんな自分を自分で認めることは難しいでしょうし、ましてや、他人には知られたくないと思うのも無理はありませんね。


「不安の捉え方」によって、その後の行動や結果が全く違うものになるということが、おわかりいただけたでしょうか?

不安の捉え方で変わる未来


ここまで見てきたように、同じように不安を感じても、捉え方によってその後の行動は大きく変わります。

たとえば「新しい職場での人間関係が不安」というケース。

不安を成長に変えられない人は、緊張のあまり、自分から声をかけることができずに孤立してしまうかもしれません。
また、周りから話しかけてもらっても、「嫌われたらどうしよう」という不安が強いと、素直に言いたいことが言えずに、コミュニケーションにストレスを感じ、自ら壁を作ってしまうこともあるでしょう。

その結果、さらに対人不安が強まり、負のループに陥ってしまいます。


一方で、不安を成長に変えられる人は、「不安を感じるのは、人とのつながりを大切にしたいからだ」と気づくことができます。

そして、まずは笑顔であいさつをするなど、無理なくできることから始めるうちに、周りの人たちとの間に、安心できる関係が少しずつ築かれていくのです。

不安は未来を指し示すサイン


不安を成長に変えられる人は、「大切なことを教えてくれるサイン」として不安を受け取り、不安と手をつないで行動し、進んでいくことができます。

 逆に「不安はダメなもの」と否定したり無視したりする人は、同じところにとどまったり、がむしゃらに行動して燃え尽きたりしてしまいます。

不安は、あなたが幸せに進んでいくためのガイドでありチャンス。

不安を感じるのは苦しいからイヤ…と思いがちですが、こうした捉え方やつきあい方に慣れてくると、不安を感じたときに「自分ともっと仲良くなるチャンスが来た」と思えるようになってきます。

不安がっている自分の声に耳を傾け、自分が何を大切に思っているのかを知り、それを大切にするために行動する――それによって、あなたの望む未来を作っていくことができますよ。

「不安も、不安がっている自分も、本当は嫌う必要なんてなかった」
最後までお読みくださったあなたに、このことが伝わっていたら、とてもうれしく思います。